秩父・木の家専門店 夫婦で営むJIROKEN工務店土屋賢次郎です。
先日、築400年の古民家を見に行ってきました。
そこに足を踏み入れた瞬間、言葉にできない圧倒的な迫力に包まれました。
壁や柱に刻まれた時間の流れ、何世代にもわたって受け継がれてきた木の温もり。その家が生き続けていることが、肌で感じられるようでした。
驚くべきは、木の家の耐久性。戦国時代から存在するこの家は、400年の歳月を超えてなお、凛とした佇まいを保っていました。
木組みの技術、柱や梁の組み方、そして随所に見られる職人の意匠。芸術的なデザインと合理的な機能性が融合し、まさに「生きた文化財」と呼ぶにふさわしい空間でした。
さらに圧巻だったのは、茅葺き屋根の断熱性。夏は涼しく、冬は暖かい。シンプルでありながら、これほどまでに理にかなった自然の仕組みがあるでしょうか?
現代の建築技術がどれほど進歩しても、これを超えるものがあるのか──そう考えさせられました。
そして、不思議なことに、この家の持つ魅力は単なる造形美や機能性だけでは説明できませんでした。
そこには、何か特別な「魂」が宿っているような気がしたのです。
この家の柱や梁には、何世代もの手が触れられ、暮らしの音が染み込み、家族の笑い声や涙が刻まれているのでしょう。
かつてここに住んでいた人々は、木のぬくもりを感じながら四季を過ごし、厳しい時代を乗り越えてきたに違いありません。
風が吹けば、家のどこかで昔の声がささやくように感じる。
雨が降れば、幾世代もの人々が聞いてきたのと同じ雨音が、そっと家を包み込む。そうした積み重ねが、この家に魂を宿らせているのだと思いました。
家は単なる物ではなく、人と共に生き、人の想いを受け継ぎながら存在し続けるものなのかもしれません。
この古民家の壁の一枚一枚、床の一枚一枚に、過去の時間が染み込み、今を生きる私たちに静かに語りかけているようでした。
「古い家には、時を超えた価値がある。」
それを改めて実感した一日でした。
私たちが木の家をつくる理由、そして木の家を守り続ける意味。
それは、ただの建物ではなく、人の暮らしと想いを未来へつなげていくことなのだと、心から感じました。
この感動を、これからの家づくりに活かしていきたい。
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